SSブログ

次の焦点は総事業費の確保に/九州新幹線西九州ルート [九州新幹線]

 JR九州(福岡市)は7月25日、九州新幹線西九州(長崎)ルートへのフリーゲージトレイン(FGT)導入について、「FGTによる運営は困難」として断念する意向を正式に表明した。現状では採算が取れず、安全面でも懸念が残るため。FGTに代わる手段として、博多―長崎間の全線のフル規格整備を求める考えもあわせて示した。同日開かれた与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の会合で説明した。





 今回のJR九州の意向表明はある程度想定されたものだった。開発主体となる鉄道建設・運輸施設整備支援機構が示す現時点での車両の製造コストと保守点検コストから、車両関連費が一般の新幹線の2倍にもなることがわかっていたからだ。仮にFGTを全面導入すれば、JR九州の負担は年間約50億円にも膨れ上がる。また、車両開発に関しても、車軸のダメージという致命的なトラブルの解消方法が見つけきれていない状況だ。JR九州の青柳俊彦社長は「運行の前提である収支採算性がFGTでは成り立たない。安全性もまだ確立できていない状態」と説明。いかに鉄道事業が許認可事業とはいえ、採算性や安全性を投げ出してまで国交省のFGT開発方針への心中を忖度する必要がなかったのは至極当然だ。






 与党PTは7月28日に佐賀県と長崎県からも意見を聞き、8月中に対応を決める方針だ。フル規格の他にもミニ新幹線の可能性について議論する動きもあるが、それはほぼ無理。在来線を最低1年間運休せねばならない上、佐賀駅の乗降客(1日3万人)の代替運行手段の確保が難しいからだ。となれば、フル規格整備しかないのだが、問題になってくるのが5000億円ともいわれる事業費の確保。




鉄道関係者は「佐賀の費用負担の問題がクローズアップされているが、とどのつまりは全体事業費の確保ができるかどうか。それにかかっている」と話す。一説にはJR九州の上場益を整備に充てるという話も聞こえるが、他の省庁もこの財源を狙っているという話もまことしやかにささやかれている。JR九州が正式にFGTによる運営を断念したことから、焦点は財源問題に移ってきそうだ。



Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。