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FGTの「開発段階」で現場の足並みに乱れ [九州新幹線]

九州新幹線西九州(長崎)ルートに導入予定の新型車両フリーゲージトレイン(FGT)について、JR九州(福岡市)が、「現状では困難」と判断していることが判明した。国に対する実質的な「FGT導入拒否」と言っても過言ではない。安全性の不確実性はもちろん、メンテナンス費用がかかり過ぎることでの“事業性”が大きな要因だと見られる。今後は6月末か7月初旬にも開催が予想される国の技術評価委員会が、FGTの今後についてどのような判断を下すのか、注目される。




西九州ルートは、博多―新鳥栖間を現行の九州新幹線と共用、新鳥栖―武雄温泉間は在来線を活用し、武雄温泉―長崎はフル規格の新線を建設する計画で整備が進んでいる。武雄温泉で在来線と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」による22年度の暫定開業と、25年度以降のFGTによる全面開業を目指している。

FGTは車輪間の幅を自動に変化させることで、軌道幅の異なる在来線と新幹線を走行できる新技術の車両である。新幹線の軌道を新たに整備することなく従来の在来線より高速で走行できるため、整備新幹線のルートから外れた地域にとっては“希望の車両”だった。開発に関しては、日本鉄道建設公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の委託により、02年に発足した「フリーゲージトレイン技術研究組合」がこれまでに約20年、400億円をかけて進めてきた。メンバーはJR九州とJR西日本、JR四国、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)に車両メーカー8社。一連の開発トラブルについてある関係者は「当初は開発に国交省が関与していたが、技術が確立する前にJR側に任された。国主導で技術的確証が得られるまでやるべきだった」と振り返る。コスト面に関しても「国がグリップすればメーカーも能動的に動くが、主体がJRだと採算性などについて意見が噴出してくる。鉄道総研のトップが交代したことで開発に及び腰になったことも影を落とした」と開発段階で現場に足並みの乱れがあったことを明かす。





運行主体のJR九州がFGTの導入に否定的な姿勢を示したことで、今後、「全線フル規格化」に関する議論が再燃するのは間違いない。フル規格化による関西圏直通で経済効果に期待する長崎県は、経済人を中心に盛り上がりを見せているが、佐賀県側の受け止め方はそれとは大きく異なっている。「FGTを前提に22年度開業を目指す」という佐賀、長崎両県とJR九州が07年に結んだ“三者合意”の大前提が崩れるためだ。佐賀県は通過地点となる上、800億円ともされる費用負担を求められる前提がある。佐賀県の山口祥義知事は三者合意の遵守を強く求めており、佐賀県側のさまざまな合意形成をいかにして取り付けるのかは大きな難題であり、フル規格化への大きな障壁になっている。また、フル規格化を目指すにしても環境アセスメントと用地買収に莫大な時間と予算がかかる。「かつて行ったアセスを下敷きにすれば時間は短縮できる」という意見もあるが、当時とは環境は大きく変化しており「フル規格化実現には30年かかる」(佐賀の経済人)という声もある。

地域の思いが入り乱れる西九州ルート整備事業。国による“ウルトラC”的な対応策でもない限り、フル規格化実現は遠い先の話になりそうだ。 Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
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