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インバウンドを呼び込む司令塔に 動き出す地域のDMO [観光]

 昨年、観光庁から訪日外国人観光客を地方に誘客するモデルとして「観光立国ショーケース」に認定された長崎市。その観光の司令塔的役割を果たす組織として期待されるのが「長崎市版DMO」である。現在、長崎国際観光コンベンション協会内に設立されたDMO推進本部を「長崎市版DMO」として独立させる計画が進行中。DMOの成否は長崎の地域経済の浮沈にも直結するだけに、その期待と責任は大きい。

 観光立国ショーケースは「日本再興戦略」に基づき、多くの外国人旅行者に選ばれる観光立国を体現する地域を作り、訪日外国人旅行者を地方へ誘客するモデルケースを形成しようとするもの。長崎市は北海道釧路市と石川県金沢市とともに昨年1月に選定された。
 その観光振興の司令塔となる長崎市版DMOの目的は、観光により地域が儲かる仕組みを体系的につくりあげることだ。そのために課題を抽出し、マーケティングを行い戦略を立て、個別事業を推進しながら地域のパートナーを支援していくのが役割である。




 長崎市版DMOのビジョンは「誰もがワクワクする長崎」を生み出していくことである。観光客と事業者、そして市民が「長崎に何度も行ってみたい」「観光で新しいことにチャレンジしたい」「長崎が面白くなりそうだ」といった興味の対象となる長崎を創り出すことで、観光客を中心とした交流を活発化、産業化することで長崎の創生につなげていく。
 政府が2030年までに訪日外国人6000万人の誘致を目指す中、国内外の観光客から選ばれる都市となるために、あらゆるパートナーと連携しながら観光に関するさまざまな課題を革新的な視点をもって克服する。かつての出島のように、観光に関する優れたノウハウや情報、人・モノ、資金が集まり、長崎ならではの商品やサービスを生み出し、世界に向けた長崎ブランドの創造・発信を行うプラットフォームを創出する。つまり、長崎市版DMOが目指す姿は交流による成長サイクルを回し続ける舵取り役、つまり「21世紀の出島」である。長崎市版DMOはこの考え方を「長崎観光イノベーション」と定め、インバウンド戦略の基本理念に位置付けているのである。



 長崎市版DMOの必要性が高まっているのは、地域の抱えている深刻な事情が背景にある。
 長崎市は、自然減と社会減を要因とする人口減少に歯止めがかからない状況で、人口減少のペースが九州の県庁所在地の中で最も速い。この傾向が続くと2045(平成57)年以降は現在の44万人から20万人台へ半減してしまう可能性があり、経済の縮小など社会全体の停滞が懸念されている。
 一方、観光面では明るい話題も少なくない。クルーズ船を利用した外国人観光客は年々増加を続けているし、「明治日本の産業革命遺産」と「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(候補)といった2つの世界遺産を抱えているのはおそらく長崎市だけだ。 さらに出島では再生事業が進行中で観光インフラの充実には目を見張るものがある。加えて、22年度には九州新幹線西九州(長崎)ルートが開業し交通アクセスが向上する。つまり、定住人口は減少しているものの、観光への追い風は強く吹いているのである。
 そこで長崎市版DMOに期待されているのが、観光により交流人口を増やして地域が潤うシステムを構築する役割なのである。
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